スリランカ人にとってゴムノキは、とても身近な存在です
先日日本の友人と話していて、ゴムノキのことってあまり知られていないんだなと感じたので、今日はゴムノキについてお話します。
ゴムノキはスリランカではヤシの木と共に、「生活の木」と呼ばれるほど生活には欠かせないのです。
ハリネズミの大好物は幼いゴムノキの根
ゴム農園を(写真とかで)見たことはありますか?
ゴム農園では木と木の間が開いていて、ゆったりとした空間が広がっているんですが、そんな環境は生き物にとっても居心地がいいようです。
ゴムノキには1本の、地中深く進んでいく根があります。
幼いゴムノキのその根はハリネズミの大好物で、食べられないようにペットボトルで囲うんですが、それでも食べられてしまうことがあります。
そうなるとゴムノキはおしまいです。倒れてしまいます。
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ゴムノキの樹液(ラテックス)は貴重なのです
ハリネズミや病気などで5%ほどはダメになるのですが、生き残ったゴムノキは5年目からラテックスを採り始めます。
木につける傷は深過ぎても浅過ぎても、ラテックスは滲み出てはきません。木の肌を見ると失敗したところはコブになっていてわかります。
1日採ったら1日は木を休ませます。採取中に雨が降ってしまったらそのラテックスは使えません。
ゴムノキは2月頃葉が落ちます。葉が落ちたら2ヶ月くらいは木を休ませ採取しません。
1本のゴムノキから1日に採れる樹液は平均500mlほどで、その内300ml以上は水です。
天然ラテックスがいかに貴重か、少しは伝えられたでしょうか?
日本で「ゴムの実」を検索すると、「ゴムゴムの実」ばかり出てくる
友人と話していて、ゴムの実を見たことも聞いたこともないというので、「ゴムの実」を検索してみました。
「ゴムゴムの実」ばかり出てくるし、ゴムの実は何月に採れるのかは、遂に見つけ出せませんでした。夏頃だってことは覚えてるんですけど。
スリランカ人にとってはゴムの実も、とっても身近なものです。子供の頃はよく、タネの中身を針で掻き出しては、オモチャを作って遊んだものです。
昔は産湯もゴムノキ、亡くなってからもゴムノキ
ゴムノキからは約25年間樹液が採取され、その役目が終わります。
ゴムノキは燃えやすく火力も強いので、薪には最高です。ゴムノキの薪を使い、土鍋で作った料理はバカウマイです。
しかし建材には向いていません。あまり丈夫ではないし、おまけに濡れるとすぐにカビてしまうのです。
昔はゴムノキの火力の強さを活かして、遺体をゴムノキの薪で燃やしていました。
今でも正月に欠かせないミルク粥は、ゴムノキの薪で炊くことが多いです。
ゴム農園の過去未来
昔イギリス人が統治していた頃、彼らは荒れ地を開拓せさようと南インドから人手(タミル人)を集めました。
イギリス人は荒れ地に米やカツオ節などを埋めておき、それを掘り起こしたタミル人たちは、スリランカは宝の山だと錯覚し、次々に身内をスリランカに呼び寄せました。
イギリス人は給料日になると、タミル人のために市を立て、字が読めない彼らのお金を巻き上げ、逃げられないようにしました。
そうして生まれたゴム農場や紅茶農園は数多いです。
そんなゴム農場ですが、近年はもっと綺麗で楽に稼げる職業が増えたために、人手不足におちいっています。
将来天然ラテックスは、ますます貴重なものになってしまうかもしれません。
おわりに
もしもスリランカに行くことがあったら、ゴム農園に立ち寄ってみてください。清々しくてとても気持の良い空間です。
ただ、ヒルには気を付けてくださいね。それからコブラやサソリにもちょっと気を付けて。
それでは今日はこの辺で。
Thank you.